ツシマヤマネコは、1998年「哺乳類レッドリスト (環境省)」で、
ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高い、
「絶滅危惧IA類 (CR)」に指定されています。
ちなみに、よく知られているイリオモテヤマネコは、
当初「IB類(EN)」であり、
2007年よりツシマヤマネコと同じ「IA類」となりました。
1945年頃までは、長崎県対馬の山奥にはかなりの数が生息しており、
山に入れば必ず目撃されたと言われていました。
今回は、見ていて愛らしいツシマヤマネコが、
絶滅危惧になっていった理由について紹介していきます。
ツシマヤマネコの減少理由
①森林伐採により、ツシマヤマネコの巣が破壊されたこと。
②ツシマヤマネコは、照葉樹林や落葉樹林が生息環境といわれているが、林業の普及により、本来の植生が伐採された跡に、生息しずらい針葉樹の植林が進められたこと。
③②の結果、エサとなるネズミや野鳥などの小動物が減少して、食べられるものが少なくなったこと。
④対馬には、ツシマヤマネコよりも雑食性が強い、ツシマテンやチョウセンイタチといったライバルが多いこと。
⑤除鼠剤や農薬の使用により、エサがいなくなったこと。
⑥ノラ猫やノラ犬の増加により、ツシマヤマネコの生存環境を圧迫していること。
⑦ニワトリ小屋をノラ猫などの被害から守るために、農家が設置した罠(トラバサミ)によりケガをする個体も相次いでいる。
⑧道路整備が進んだことで、交通事故により死傷するツシマヤマネコが増加していること。
対策
これらの理由により、ツシマヤマネコの個体減少が続き、
絶滅危惧種になりました。
現在の対馬にいる生息数は、100頭を切っていると言われています。
大切なツシマヤマネコが絶滅しないように、
今では、動物園で飼育して、繁殖活動を実施しています。
個体の高齢化もあり、人工授精技術も取り入れられる必要がありそうです。
まとめ
今回は、主にツシマヤマネコが絶滅危惧種になった具体的理由について紹介しました。
個体数が減っていった理由は、生息環境の変化によるものがほとんどといってよいでしょう。
私たち人間にとっても動物たちにとっても、共存していける環境づくりをすることが課題であると認識させられました。